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「入社して1か月。思っていた仕事と全然違う。でも試用期間で辞めるなんて、気まずいし経歴にも響きそう」。こういう状況は、誰でも一度は頭をよぎることだと思います。
先に結論を書きます。試用期間でも辞められます。期間の定めのない契約なら、辞めたいと伝えてから2週間で契約は終わります。
この記事では、民法と労働基準法の条文、茨城労働局のQ&A、ハローワークの案内で確認できた範囲で、試用期間の退職ルールをまとめます。確認日は2026年11月7日です。自分は試用期間中に辞めた経験を書くわけではないので、体験談ではなく公式情報をもとにしています。
結論|試用期間でも2週間前に伝えれば辞められる
- 期間の定めのない契約なら、退職の申し入れから2週間で契約は終わる(民法627条1項)
- 就業規則に「1か月前」とあっても、2週間で効力が出るとする見方がある。揉めそうなら記録を残して進める
- 契約期間が決まっている有期契約だと、原則は「やむを得ない事由」が必要(民法628条)
- 採用時に聞いた労働条件と実際が違う場合は、すぐに契約を解除できる(労働基準法15条2項)
「試用期間だから」と特別に重い決まりがあるわけではありません。ただ契約の種類と、どの条件が当てはまるかで話が変わるので、順番に見ていきます。
試用期間とは?辞めても問題ないの?
試用期間は、会社が本採用する前に、仕事への適性を見る期間のことです。期間は3か月や6か月とする会社が多く、法令で長さが決まっているわけではないとマネーフォワード クラウド給与の解説で説明されています。
同じ解説では試用期間中でも会社と労働者は雇用契約を結んでいるので、労働者に退職の自由があるとされています。つまり働く側が辞めること自体に特別な許可は要りません。
気まずいと感じる人は多いのですが、法律の面で後ろめたさを持つ必要はないということですね。
試用期間の退職は何日前に言えばいい?
原則は2週間前(民法627条1項)
民法627条1項は、雇用の期間を定めなかったときについて、次のように書いています。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
条文には、退職の理由を示す条件は入っていません。理由を会社に納得してもらう必要がある、という決まりではないということです。
就業規則が「1か月前」のとき
会社の就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」と書いてあることは珍しくありません。茨城労働局「辞めたいと言われたら」のQ&Aでは、民法の規定を任意規定と見て就業規則が優先するという見解がある一方、民法を強行規定と見る裁判例もあると説明されています。
強行規定と見る立場では、退職届を出してから2週間たてば、会社の承諾がなくても退職の効力が出ます。同じQ&Aには、後任が見つかるまで退職を認めない、ということはできないとも書かれています。
月給制の人は退職日がずれることがある
同じQ&Aには、月給制のように期間で報酬が決まっている場合、申し入れの時期で退職日が変わると書かれています。賃金計算期間の前半に申し入れれば、その期間の末日に退職できます。後半に申し入れた場合は、翌期間以降になります。
| ケース | 退職できる時期の目安 |
|---|---|
| 期間の定めのない契約(正社員など) | 申し入れから2週間(民法627条1項) |
| 就業規則に「1か月前」とある | 2週間で効力が出るとする見方がある。実務では就業規則に沿って相談する人も多い |
| 月給制で、計算期間の後半に申し入れた | 茨城労働局のQ&Aでは、翌計算期間以降の退職日になる場合がある |
| 有期契約 | 原則は契約期間の満了まで。やむを得ない事由があれば直ちに解除できる(民法628条) |
実際には引き継ぎやこれからの人間関係を考えて、就業規則の日数に合わせて相談する人が多いと思います。ただ会社が「辞めさせない」と言い出したときの最低ラインが2週間、と知っているだけで気持ちはだいぶ楽になりますね。
試用期間中の即日退職はできる?
原則は、申し入れから2週間の在籍が必要です。それでも即日に近い形で辞めたい場面は、いくつかの形で考えられます。
会社と合意できれば早く辞められる
マネーフォワード クラウド給与の解説では、会社が合意すれば即日退職も可能とされています。「今日で辞めたい」と一方的に決められるのではなく、会社が了承してくれる場合の話です。
採用時の条件と実際が違うとき(労働基準法15条2項)
労働基準法15条2項は、会社が明示した労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できると定めています。
たとえば求人票や契約書の勤務地、仕事内容、給与、勤務時間などが、実際に働いてみたら大きく違っていた場合が当てはまり得ます。3項には、仕事のために住居を変えた人が、契約解除の日から14日以内に帰郷するときは、会社が必要な旅費を負担するという定めもあります。
何が「相違」に当たるかは、個別に判断されます。求人票や労働条件通知書、メールなどの記録を手元に残しておいてください。
やむを得ない事由があるとき
病気や家族の介護などやむを得ない事由があるときは、即時に契約を解除できる場合があると、マネーフォワード クラウド給与の解説で説明されています。これも当てはまるかどうかは事情次第です。
どうしても今日から行けないという状況なら、退職代行を使う方法もあります。当日の流れと注意点は退職代行で即日退職できる?にまとめました。
試用期間が有期契約のときは注意が必要
ここまでの2週間ルールは契約期間が決まっていない場合の話です。契約書に「契約期間:○か月」と書かれた有期契約の場合は、考え方が変わります。
民法628条は、雇用の期間を定めた場合でも、やむを得ない事由があるときは各当事者が直ちに契約を解除できると定めています。逆に言えばやむを得ない事由がないのに期間の途中で辞めると、争いになる余地があります。事由が当事者の一方の過失で生じた場合は、相手に損害賠償の責任を負うことがあるとも書かれています。
自分の契約が有期か無期か分からないときは、雇用契約書や労働条件通知書の「契約期間」の欄を見てください。判断が難しいときは、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーで相談できます。厚生労働省「個別労働紛争解決制度」のページでは、相談は無料で秘密が守られると案内されています。
気まずい切り出し方|辞めると伝える順番
法律上の話が分かっても、「どう言い出すか」は別問題ですよね。マネーフォワード クラウド給与の解説には、直属の上司に口頭で伝えてから退職届を出すのが一般的、という説明があります。
- 直属の上司に「ご相談したいことがあります」と時間をもらう
- 会議室など、人に聞かれない場所で「退職したい」と伝える
- 理由は詳しく話さなくていい。「一身上の都合で」で通る範囲にとどめる
- 退職日の希望と、引き継ぎに協力する姿勢を伝える
- 話した内容は、メールや退職届など記録が残る形でも残しておく
たとえばこんな言い方です。
「入社して間もないのに申し訳ありません。考えた結果、一身上の都合で退職したいと考えています。退職日はご相談させてください。」
引き止められて話が進まないときは、辞めさせてくれない会社の対処法が参考になります。書面や日付の記録の残し方も書いています。
どうしても自分で言い出せない人や、言っても聞き入れてもらえない人は、退職代行を使う手もあります。男性向けのサービスだと、男の退職代行があります。
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費用や対応範囲は、申し込む前に公式サイトで必ず確認してください。
辞める前に確認しておきたいこと
会社から受け取る書類と返すもの
退職日までに、会社から受け取る書類と返すものを確認しておくと、辞めたあとの手続きが止まりません。会社によって渡す書類は違うので、退職の日取りを決める段階で聞いておくのがおすすめです。
- 受け取る書類の例:離職票(希望した場合)・源泉徴収票・雇用保険被保険者証など
- 返すものの例:社員証・健康保険証・貸与された備品・制服など
離職票は、希望を伝えておかないと用意されないことがあります。届かないときの対処は離職票が届かないときの対処法に書きました。
健康保険と年金
辞めたあとの健康保険は、いくつか選択肢があります。次の就職先が決まっていない場合は、退職後の健康保険はどれを選ぶ?で整理しています。
失業手当は受け取れる?
試用期間が短いと、失業手当の条件を満たせないことがあります。ハローワークインターネットサービス「基本手当について」では、受給要件として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あること、と案内されています。
例外として特定受給資格者や特定理由離職者は、離職の日以前1年間に通算6か月以上あれば足りるとされています。
ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」を見ると、特定受給資格者の範囲に「労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者」が入っています。採用時の条件と実際が違って辞めた場合は、こちらに当たる可能性があります。
被保険者期間は「通算」とされているので、前の会社の期間が合算できるかもしれません。ただ前職で受給手続きを済ませているかなどで扱いが変わることもあるので、管轄のハローワークで確認してください。手続きの全体像は退職後の失業保険・手続き完全ガイドにまとめています。
試用期間で辞めた会社は履歴書に書く?
結論から言うと基本は書きます。マイナビエージェントの解説では、試用期間中に退職した場合でも履歴書の職歴にはすべて記入するのが基本とされています。隠しても雇用保険の加入記録などから分かる可能性があり、経歴詐称とみなされると信用を失うおそれがある、とも書かれています。
理由の書き方についても、同じ解説に次のような整理があります。
- 基本は、職歴欄に「一身上の都合により退職」と書く
- 労働条件が事前の説明と違った場合は、事実に基づいて具体的に説明する
- 仕事内容が合わなかった場合は、「十分に力を発揮できなかった」のような表現にとどめる
- 前の会社への愚痴や批判は避け、事実だけを伝える
詳しい理由は、面接で聞かれたときに口頭で補足すれば足ります。短期離職を理由に面接で深く突っ込まれるのはつらいですが、聞かれることを前提に、答えを用意しておけば焦りません。
試用期間で辞めたあとの転職の進め方
試用期間で辞めると、「また短期で辞めるのでは」と見られやすいという声があります。ここは避けて通れないので、面接でどう話すかを事前に整理しておくのがいいと思います。
- 辞めた理由を、会社への不満ではなく「何が合わなかったか」の事実で話す
- 次の仕事で何を優先して選ぶかを、1つか2つに絞って話す
- 入社前に確認しておけたことがあれば、今回はそこを確認すると伝える
入社前の確認については、転職エージェントは何社登録すべき?で登録する数の考え方をまとめています。求人票だけでは分からない職場の雰囲気や残業の実態を事前に聞けるのは、エージェントのいいところですね。
20代や第二新卒の人は、サポートを受けながら進めるのも1つの方法です。ユメキャリ就職エージェントは中途・既卒・第二新卒層が中心なので、30代以降の人は他のサービスと合わせて検討してください。サービスの特徴はユメキャリ就職エージェントの評判に書いています。
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よくある質問
Q. 試用期間中は、いつでも辞められる?
期間の定めのない契約なら、申し入れから2週間で契約が終わります(民法627条1項)。有期契約の場合は、原則としてやむを得ない事由が必要です(民法628条)。契約書の「契約期間」の欄を確認してください。
Q. 試用期間中に会社から辞めてほしいと言われたら?
これは会社からの解雇の話になるので、労働者が辞める場合とは別のルールです。労働基準法20条は、解雇するときは少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払うと定めています。
21条では、試用期間中の者は予告の規定の適用除外とされています。ただし、14日を超えて引き続き使用されるようになった場合は適用除外から外れる、というただし書があります。つまり雇い入れから14日を過ぎたあとの解雇は、予告などの手続きが必要になります。
Q. 試用期間で辞めると、失業手当はもらえる?
原則は、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。採用時の労働条件と実際が著しく違ったなどの場合は、特定受給資格者として6か月以上で足りる可能性があります。当てはまるかは、ハローワークで判断されます。
Q. 退職届を受け取ってもらえないときは?
退職の申し入れは、口頭でも書面でも、伝えた日がはっきり分かる形で残すと、あとで説明しやすくなります。メールなど記録が残る形で伝え直すのも1つです。それでも進まないときは、総合労働相談コーナーに相談できます。
Q. 試用期間で辞めると、次の転職に不利になる?
短期離職は見られやすい点ですが、理由を事実で説明できれば、必ずしも決定的な不利にはなりません。履歴書には正直に書き、面接で理由と次の選び方を整理して話すのが基本です。
まとめ|試用期間でも辞められる。条件と順番を確認して動く
試用期間の退職について、確認できた範囲のポイントは次のとおりです。
- 期間の定めのない契約なら、申し入れから2週間で退職できる。理由を会社に認めてもらう必要はない
- 就業規則が「1か月前」でも、2週間で効力が出るとする見方がある。揉めそうなら記録を残す
- 採用時の労働条件と実際が違うときは、即時に契約を解除できる(労働基準法15条2項)
- 有期契約は、原則やむを得ない事由が必要。契約書の契約期間を確認する
- 失業手当は、原則12か月以上の被保険者期間が必要。条件相違で辞めた場合は6か月以上で足りる可能性がある
- 履歴書には基本的に書く。理由は「一身上の都合」で足り、詳細は面接で話す
試用期間で辞めるのは、気まずいし勇気が要ることです。ただ合わない職場に残り続けるより、早めに動いたほうが次に進みやすいこともあります。自分の契約の種類と、当てはまる条件を確認してから、落ち着いて伝えてください。
参考:民法/労働基準法/茨城労働局「辞めたいと言われたら」のQ&A/マネーフォワード クラウド給与の解説/マイナビエージェントの解説/ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」/厚生労働省「個別労働紛争解決制度」
※個別の状況によって結論が変わる場合があります。判断に迷うときは、労働基準監督署や総合労働相談コーナー、弁護士などの専門家に相談してください。
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